〈特別インタビュー〉


壱岐はアジアからの観光客に期待も 特産品の地域ブランド化が重要 日本国際観光学会会長    香川眞氏に聞く
  (聞き手 東京雪州会副会長兼幹事長牧山康敏)

 
地域起こしの有力な手段として全国各地で観光交流の促進が目立ちます。私達のふるさと壱岐市でも観光振興による活性化策が重要なテーマとなっています。折しも政府は十月に『観光庁』を新設し、海外からの観光客誘致に本腰で取り組み始めました。そこで日本国際観光学会会長で、観光問題の専門家である香川眞氏に地域観光のあり方や今後の観光交流の方向について聞きました。

⇒香川先生は壱岐について特に関心をもたれたことはありますか。


香川会長
 残念ながら壱岐にはまだ行っていません。ただ壱岐には歴史的遺産も多いと聞いています。元冠の役などの遺跡も残されているそうで、いつか機会を見て是非訪ねてみたいものです。

⇒壱岐には美しい自然や遺跡もあります。こうした観光資源の活用につてのお考えを。

香川
 一般的にいえば、最近はテレビなどで取り上げると一時的には観光客も来る。しかし一過性で終わるケースが多い。それより
息の長いものにした方がいい。壱岐について言えば自然や歴史的遺産はキーワードとして外せないでしょう。息の長い観光交流を続け
るにはまず、壱岐の小中学・高校生など子供たちが県内の学校との交流や、さらには全国的なべースで交流することも大事です。子供
が外の子供たちとの交流を通じて、外から自分たちの島を見直すことも大切でしょう。彼らが大きく成長していく過程で壱岐のアイ
デンティティー(個性)を高めるきっかけになればいいですね。

⇒壱岐には海産物や麦焼酎、壱岐牛、メロンなど多くの特産物がありますが、これをいかに広く普及させていくかも課題です。

香川
 一番は地元の人たちがアイデンティティ,を高めるために、特産品の特徴を生かして地域ブランドを作ることだと思います。その場合、気をつけなければいけないことは「仲間外れ」が出ないようにすることです。参加できない人がいると、仲間外れした人が、内から足を引っ張る。それは気をつけないといけない。市全体で取り組むとか、町ごとに作るとか方法はいろいろあるでしょう。また国も国交省中心に地域観光の振興に力を入れているので、そうした国の支援策も積極的に活用されるといい。

◆離島のメリットを生かせ

⇒壱岐には美しい自然や遺跡もあります。こうした観光資源の活用につてのお考えを。i壱岐は離島として交通アクセスの問題もあります。この辺の対応はどうでしょう。

香川 逆に離島の利点や特徴を生かせばいいですよ。「離島に行こう1」など、日常生活からの切り替え感覚を前面に出せば観光客を呼び込めるのではないでしょうか。例えば私も少し関係している茨城県の場合などは各市の観光協会が中心になってJRや私鉄に観光スポットの案内、鉄道とも協力して交流人口の増加を図っています。また県自身が組織をつくり旅行業の資格をとって旅行業務を行っています。

旅行業者だけに任せず地元の観光協会などが自分たちで積極的にかかわると言うことですね。

香川
 まず足(交通)、次いで観光客の手配、そして宿泊施設。この三つを上手にまとめる。自分たちがかかわって作っていく。業者だけに任せると、自然などが荒らされる。大量に来てごみを残すのでは困る。自然環境を如何に維持していくかも重要です。いい観光
客に適正規模で来てもらう。今後は、こうした取り組みが大事です。

日本では今、地域格差が叫ばれ、多くの自治体が観光交流による地域の活性化を模索しています。観光と地域の活性化についてのお考えをお聞きしたい。

香川
 いまニューツーリズム(新しい観光)が注目されています。長期滞在型、エコー(環境=グリーンツーリズム)、文化観光、産業観光、ヘルス・ツーリズム(温泉、ゴルフなど健康志向)、都市と農漁村の連携、地域のブランド化を図るなどです。これら
を組み合わせて、壱岐ならではの「希少価値」を売り込むことが大切です。

◆壱岐ならではの希少価値を

壱岐も含め地域の人口減少も見逃せません。

香川
 交流人口を増やすとしても、観光ですぐ活性化するとは考えられません。ただ観光交流でも地域の人が主役となり「いい壱岐をつくろう」と言う気持ちが大事でしょう。二〇〇三年に小泉首相は観光立国を目指して「住んで良し、訪れて良し、の国づくり」のキャッチフレーズを掲げて国際放送で自らもテレビ出演し「ニッポン」を海外に売り込んだ。壱岐も「住んで良し、訪れて良し、美しい島壱岐づくり」1などキャッチフレーズを考えてPRされたらどうですか。

⇒ところで政府は観光立国を進めるため今年十月、国土交通省に「観光庁」を新設、海外からの観光客受け入れに取り組みますが。

香川
 政府は二〇一〇年に海外からの観光客を一千万人、二〇年に二千万人の達成を目指しています。観光庁の新設もその実現を図るためです。特に日本は海外からの観光客が少ない。フランスは七千九百万人が訪れてトップ。日本は二〇〇七年で八百三十五万人です。今後、アジアからの観光客に期待しています。

◆期待できるアジアからの観光客

その意味でアジア大陸に近い壱岐は期待できますね。

香川
 中国、韓国、台湾、香港など東アジアからの観光客は今後増加する見込みです。そうすると壱岐は地の利を生かしてアジアの観光客に目を向けることも必要でしょう。観光は地域の文化の発信であり観光交流を通じて社会や文化が変わるのです。人と人との触れ合いが国際交流を促進します。観光交流は国や地域の活性化だけでなく世界平和に貢献する、と言うのが私の考えです。

本日は貴重なお話、有り難うございました。今度は是非、壱岐にも来てください。