父との離別、「黒い肌」に苦悩…
草の根から新たな歴史
 「変革」を掲げて第44代米大統領の座をつかんだバラク・オバマ氏(47)。「黒人も白人もヒスパニック系もアジア系のアメリカもない。あるのはアメリカ合衆国だけだ」。黒人初の大統領として「国民の結束」を呼びかけるオバマ氏の経歴を、当時の写冥(いずれもAP)とともに振り返った。

 オバマ氏は1961年8月4日、米ハワイ州ホノルル生まれ。父親はハワイ大に留学していたケニア人、母親はカンザス州生まれの白人だ。あどけない笑顔でバットを振る幼少時のオバマ氏の姿=
写真@=は、バスケットボールとジム通いが趣味というオバマ氏のスポーツマンの一面を今に伝えている。

 転機は早くも12歳で訪れた。父親がハーバード大で学ぶため、家族を残してハワイを離れ、その後はケニアに帰国。父親とオバマ氏が再会したのは、それから8年後のたった一度きり=
同A=だ。    、 再婚した母親とインドネシアに移住したのは6歳のとき。その後、親元を離れて高校卒業まで祖父母とハワイで暮らした。

83年にコロンビア大を卒業し、91年にハーバード大法科大学院=
同B=を修了したエリートだが、10代では「黒い肌」に悩み、マリファナに手を出したこともあったという。

 イリノイ州シカゴに本拠を置いたオバマ氏は、地域活動に奉仕。シカゴ大法科大学院で教壇にも立ち=
同C、92年には同じく法曹資格を持つミシェル夫人と結婚した=同D

 人権派弁護士として草の根活動に携わり、96年に同州上院議貞、2004年に連邦上院議員に当選した。 そして08年8月、圧倒的な知名度と資金力を誇るヒラリー・クリントン氏を、自ら培った草の根選挙で破って民主党大統領候補となり=
同E、同年11月に大統領選に勝利、新たな歴史の幕を開けた。



ミシェル夫人「一番の仕事は母親」…期待は大きく
 【ニューヨーク=長戸雅子】オバマ新大統領の就任に伴い、夫人のミシェルさん(45)=写真=が米国の新しいファーストレディーになる。初のアフリカ系ファーストレディーでもあるミシェルさんは、シカゴの労働者階の家庭からプリンストン大やハーバード大という米有数の名門大学で学び、弁護士として企業法務や福祉活動の分野で活躍。夫同様、「アメリカン・ドリームの体現者」ともいわれている。

オバマ氏は自著「合衆国再生大いなる希望を抱いて」で、「選挙で彼女と戦うことになったらあっさり負けるのは分かっている」と書き、ミシェルさんに頭が上がらないことを告白している。

多才かつ、「強い政治メッセージを放つ」 (英紙フィナンシャル・タイムズ)存在感から、「重要な社会問題に取り組んでほしい」との期待も寄せられる。しかし、ミシェルさんは「ファーストレディ一になってもー番の仕事は母親であること」と話し、マリアさん(10)とサーシャさん(7)の2人の娘の子育てを最優先する考えを明らかにしており、「マム・イン・チーフ(最高位の母)」と呼ばれている。

 ホワイトハウスの女主人として多忙なファーストレディーだが、「報酬もなく、公的生活を余儀なくされる私人」 (レーガン元大統領)であり、法律で決められた職責もない。その分、歴代の大統領夫人にはそれぞれの個性がにじみ出ている。

 F・D・ルーズベルト元大統領のエレノア夫人は、人権活動家やコラムニストとして実績を残し、夫の死後は国連の米代表としても活躍した。 優れたファッションセンスで知られるジャクリーン・ケネディ夫人は、ホワイトハウスの調度品の保存運動や文化行事に積極的にかかわった。

 クリントン元大統領夫人で、新国務長官に指名されているヒラリー・クリントン氏は、大統領執務室などがあるホワイトハウス中相部に例外的にオフィスを構え、医療保険改革に取り組んだ。 現時点では母親の役割を最重視しているミシェルさんだが、「女性は同時に一つより多くのことをこなせる能力がある」とも話しており、ホワイトハウスでの生活に慣れるに従い、どのような能力や個性を発揮するか注目されている。

就任演説のすべて(読売新聞H21.1.21)