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ヨーロッパの権威ある品評会
「モンド・セレクション」の大金賞を受賞して
壱岐特産の麦焼酎を世界の舞台に…
東京雪州会顧問
玄海酒造社長 山内 賢明
ヨーロッパで最も権威のある酒・食品の品評会「モンド・セレクション」(EU代表部主管)において今年、弊社の麦焼酎「美鏡」が最高位の大金賞を獲得し、このたび認定証とメダルが届けられました。
「グランド・ゴールド・メダル」と称されるこの大金賞は、スピリッツ及びリキュール部門での専門家による厳格な審査を経て受賞したものです。麦焼酎発祥の地である壱岐島の麦焼酎が世界各国から数多く出品された中で最高位に輝いたことは、大変光栄であり、身の引き締まる思いでもあります。
この受賞が、壱岐特産の麦焼酎の国内市場はもとより、世界の舞台に向けて飛躍する契機になればと密かに夢を膨らませております。
ここで「モンド・セレクション」について概要を簡単に説明しておきます。この品評会はベルギー王国において古くからワインやチョコレート等、食品の品評会として発足し、今やヨーロッパで最も権威ある品評会として位置づけられています。
一九六一年、当時のEEC(欧州経済共同体)のワインの選定を目的としてベルギー経済省管轄の下にブリュッセルに組織委員会を置き、正式に各国から認定されました。六二年からは食品中心に専門審査分科会が増え、これに伴い世界各地からの出品も急速に増加したといわれています。
その後、グローバル化の進展とECからEU(欧州共同体)への移行などにより、九四年からこの組織の主管はEU代表部に移管されています。「モンド・セレクション」の究極の目的は、世界各地からの選りすぐられた品質の製品を広く募り、その品質を分析することによって、それを購入する消費者が受益を得られるようにすることにあります。つまり消費者のために厳格な審査を行い、いい製品を消費者に提供するということです。
その各部門の審査は厳しく、モンド・セレクションから委託されたスペシャリスト達によって行われ、ベルギー王国公認の研究所などが製品の分析や調査を受け持っているそうです。審査会は完全に独立した機関として運営され、その厳正、且つ妥協しない姿勢はいかなる分野や企業からの影響を受けることなく、最終的に評価し、決定されるといわれています。そうした審査を経て獲得した今回の大金賞は、昨年の銀賞受賞に次ぐものだけに誇りでもあります。
ところで、この機会に麦焼酎発祥の地とされる壱岐島特産の麦焼酎について触れてみたい。壱岐島は古来、日本と中国大陸・朝鮮半島との交流の中継地として栄え、大陸文化を吸収しつつ壱岐独特の文化を形成して発展したといわれています。食文化についても例えば「どぶろく」などは壱岐古来の「酒」として広く島民にたしなまれていたようです。それが麦を原料とする焼酎醸造技術を生み、やがて今日の麦焼酎に発展したといえるでしょう。
壱岐の島は他の島々と違って平地が多く水も豊富で、穀物の産地としても適していたのです。酒や焼酎の醸造に欠かせない穀物と水という最大の条件が備わっていたといえます。
一九九五年にWTO(世界貿易機関)は壱岐島の麦焼酎を熊本の球磨焼酎、沖縄の泡盛とともに地理的表示として認定し、私たちの島の麦焼酎はウイスキー、ブランデー、ワインと並んで世界にその名を刻することになったのです。壱岐の酒造業者にとって大きな励みでもあり、勇気付けられる一つのエポックでもありました。
これも偏に地元・壱岐の方々を初め多くの消費者の皆様のご愛顧とご支援の賜であります。日本経済が低迷する中、各産業は生き残り策に懸命に取り組んでいます。私たち壱岐の酒造各社も例外ではありません。幸いにも国税庁の発表によれば、ビールや清酒の消費 量が頭打ちする状況下で、焼酎の 消費量が清酒を上回ったといいま す。
焼酎の芳醇な香りと、適当な「辛さ」が消費者の嗜好にあい、理解されてきた現われでしょうか。私たちは地場産業として麦焼酎の製造・販売を通じて壱岐島の発展に一層寄与していきたい。その古里壱岐も来年三月には晴れて「壱岐市」として新たなスタートを切ることになっています。
東京雪州会でも側面から古里の発展にさらなる協力をしていく考えです。この「雪州会だより」の壱岐市発足記念特集号もその一環といえます。私たち壱岐の酒造業界も製品の向上に一段と切磋琢磨し、品質にかけては他のいかなる地域の焼酎にも負けない「お客様に好まれる麦焼酎」の提供を目指したいものです。そのための競争は正々堂々と行い、半面では協調の精神を忘れず、壱岐島の麦焼酎を世界の舞台に向けて飛躍させる べく、一致協力して前進していき たいと考えています。皆様の一層 のご愛顧とご支援をお願いいたし ます。
(壱岐酒造組合理事長・山の守酒造社長)
情報源:雪州会だより 31号から |